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従来のHPVワクチン特に2価ワクチンのサーバリックスを接種したのに、その後の子宮頸がん検診で異常が見つかったのはなぜですか?

従来のHPVワクチン特に2価ワクチンのサーバリックスを接種したのに、その後の子宮頸がん検診で異常が見つかったのはなぜですか?

HPVワクチンを接種していても、その後の子宮頸がん検診(細胞診)で異常を指摘されることがあります。
特に「軽度異形成」や「コイロサイトーシス(koilocytosis)」といった所見が見つかり、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
その理由の一つは、「接種したワクチンがカバーしていないHPVの型に感染していた可能性がある」ためです。

従来のHPVワクチンは“すべての型”に対応しているわけではありません

HPVワクチンには複数の種類があり、それぞれにカバーできるHPVの「型(タイプ)」が異なります。

サーバリックス(2価ワクチン)

主に「16型」「18型」という、子宮頸がんの主な原因となるハイリスク型HPVの感染を予防するワクチンです。ただし、尖圭コンジローマの原因となる6型・11型や、その他のローリスク型には対応していません。

ガーダシル(4価ワクチン)

4価ワクチンでは、16型・18型に加え、6型・11型(ローリスク型)も予防対象となります。

シルガード9(9価ワクチン)

9価ワクチンでは、16型・18型、6型・11型(ローリスク型)に加えて31型・33型・45型・52型・58型といった、その他のハイリスク型にも対応しており、ほとんどのHPVの型に効果が期待できます。

「コイロサイトーシス」や「軽度異形成」はどういう状態?

HPV感染によって子宮頸部の細胞が変化すると、細胞診検査で「異常」と判定されることがあります。例えば下記のような所見が見つかる背景には、ワクチンでは予防できない型のHPVに感染していた、あるいはワクチン接種前にすでに感染していたというケースも考えられます。

コイロサイトーシス(Koilocytosis):

 HPV感染によって生じる特徴的な細胞変化で、細胞の核のまわりにある細胞内器官のミトコンドリアや粗面小胞体などがウイルス感染により変性をきたしたために空洞ができる所見です(「koilo」はギリシャ語で“空洞”を意味します)。

軽度異形成(L-SIL,CIN1):

子宮頸部の上皮細胞に軽度の核異常が認められる状態で、多くの場合、ほぼ90%自然に消失しますが、消失するまで経過観察が必要です。

Class 分類の時代にさかのぼると、Koilocytosis が見られても、核異形の無いKoilocytosisは、Class 2bkとして良性の範疇にされていました。

2013年に開催されたWHO のコンセンサスミーティングにおいて、koilocytosisがあるからL-SIL と言うのは止めようという見解がなされましたが、その後病理でコンジローマと軽度異形成との鑑別は難しいこともあり、それならばKoilo があればL‐SIL ,CIN1にしてしまえという事で、細胞診も組織診断においてもKoiloがあれば全てMild dysplasiaとなりました。
しかしながら、臨床医は気付きました。
病理組織において、CIN1と診断された症例のなんと90%は、時間の長い、遅いはあるが消退してしまうことが分かりました。

また、杏林大学の大河戸先生の研究により、最も発がん性の高いHigh-Risk HPV 16,18,52 はkoiloを作らない!
Koiloを作るのは、昔から言われていた6型が断トツに多く、ほとんどがLow-Risk HPV によるものと研究結果が報告されました。

また、Hight-risk HPVの内, 56,39 のみKoiloを作ったということですが、56,39 は本邦でも、欧米でも発がんリスクは非常に少ないtype であります。

最近、オーストラリアでは、L-SILは1年後の検診で良いのではという意見があります。
私も 細胞診の診断を40年以上診断してきましたが、核異形の無いkoiloは日常茶飯事に見られます。
Hight-risk HPV マイナスなのにKoilo が見られたので, L-SIL,コルポ所見は全く異常所見が無いのにPunch で核種大もクロマチン増量も見られないKoilo があるだけでCIN1 ,Mild dysplasia と診断された症例が実に多いことが臨床の先生は気づいておられると思います。

特にHPV ワクチンの接種率が極めて低い我が国の女性は、高率にHight-risk HPV に感染するだけでなくLow-Risk HPV にも感染しています。
若い女性が思い切ってがん検診を受けたら、あるいは妊婦検診をしたら、核異型のないKoilocytosis が見られただけで、Punchを取られて病理検査でもKoiloがあるので”前がん病変の軽度“と言われ、痛い思いだけでなく、精神的にも負担になっています。

私も10年以上前からがん検診の不利益について言い続けていますが、核異型のないKoilo はウイルス感染所見であり、前がん病変とするのは過剰診断と考えます。もういい加減、訂正する時と考えます。
 
 

なぜガーダシルの方が「引っかかりにくい」のか?

ガーダシルは、ローリスク型(6型・11型)も含めた複数の型に対応しているため、ワクチン接種後に異常細胞が見つかる可能性が相対的に低いとされています。
一方、サーバリックスはハイリスク型に特化したワクチンのため、ローリスク型HPVによる細胞の変化まではカバーできません。その結果、細胞診検査で異常を指摘されるケースが見られるのです。

 
 
子宮頸がん検診で異常を指摘された方!リボーンレディースクリニックに是非、お越しください! 過剰診断されていることもあります!

HPV ウイルス感染所見による変化、特にKoilocytosis(核周囲明庭halo)という所見があると核の異型の無い場合 (以前は正常範囲とされていました )でも、前がん病変の軽度異形成(CIN1)、細胞診では、L-SIL と診断され組織検査を必要とされますが、実はCIN1 と診断された症例のなんと90%は消失することが解っています。

また、Koilocytosisを呈する原因ウイルスは、ほとんどが癌にならない Low-risk HPV の6型などが関与している事も解りました。逆に最も癌になる可能性がある Hight risk HPV の 16型、18型、52型はKoilocytosisを作らないことが杏林大学の大河戸先生の研究で解明されました。
オーストラリアでは、L-SIL と診断された症例は、1年後の検診でも良いとの見解が成される様になって来ました。

その他にも頸管炎などによる炎症性変化、腟部びらんが治る過程の化生細胞(Metaplastic cell)、修復細胞 (Repair cell) における軽度の核腫大、閉経後の萎縮性変化における軽度の核腫大、などを過剰診断されていることが増えていることが現状です。

本当に病変があるのか?そして、治療が必要なのか?経過観察でよろしいのか?それとも問題無いものなのか?細胞診の専門医である私が細胞標本を見直し、また、コルポスコピーによるコルポ所見から正確な診断をして、判断させていただきますので、安心してどうぞお越しになってください。

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